有給休暇とは 

◎年次有給休暇をあげなければいけない人は?

 

労働基準法において、労働者は下記の条件を満たしているとき有給休暇を取得できると規定されています。
1.雇ってから半年(6ヵ月)たっている
2.その間、働くべき日数の8割以上働いている

 

①原則となる付与日数

継続勤務年数 6ヵ月 1年
6か月
2年
6か月
3年
6か月
4年
6か月
5年
6か月
6年
6ヵ月
以上
有給休暇付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

 

②パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者

所定労働日数が週30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下の労働者

週所定
労働日数
1年間の
所定労働日数
6ヵ月 1年
6か月
2年
6か月
3年
6か月
4年
6か月
5年
6か月
6年
6ヵ月
以上
4日 169日~
216日
7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日~
168日
5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日~
120日
3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日~
72日
1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

灰色の部分は2019年4月から義務付けられた「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の対象
 

◎年次有給休暇を与え方は?

 

①年次有給休暇を与えるタイミング

年次有給休暇は、労働者が請求する時季に与えることが原則となっているので、労働者が具体的な月日を指定した場合には、会社における「時季変更権」による場合を除き、労働者が指定した日に与えなければいけない。

※時季変更権・・・労働者の指定した時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合(同一期間に多数の労働者が休暇を希望するなど)には、他の時季に年次有給休暇を変更できる。

 

②年次有給休暇の繰越

年次有給休暇の請求権の時効は2年であり、前年度に取得されなかった年次有給休暇は翌年度まで繰越可能。

 

③不利益取り扱いの禁止

使用者は年次有給休暇を取得した労働者に対して賃金の減額などの不利益な取り扱いをしてはいけないことになっている。

 

④計画年休

計画的に年次有給休暇の取得日を定めて年次有給休暇を与えること。ただし、労働者が自ら請求・取得できる年次有給休暇を最低5日残す必要がある。

※労使協定を締結する必要あり。

 

⑤半日単位年休

年次有給休暇は1日単位で取得することが原則だが、労働者が半日単位で取得を希望し、使用者が同意した場合は1日単位の取得の阻害にならない範囲で半日単位の年次有給休暇の取得が可能。

 

⑥時間単位年休

年次有給休暇は1日単位で取得することが原則だが、労働者が時間単位での有給休暇の取得を請求した場合は、年に5日分を限度として、時間単位で年次有給休暇を取得できる。

※労使協定を締結する必要あり。
※「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の対象とはできない。

 

⑦特別休暇

年次有給休暇に加え、休暇の目的や取得形態を任意で設定できる会社独自の休暇制度。有給・無給の両方の場合がある。

※「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の対象とはできない。
 

◎年5日の年次有給休暇の確実な取得とは?

 

1.2019年4月以降に年次有給休暇が10日以上付与される労働者が対象

対象労働者に管理監督者や有期雇用労働者も含む

 

2.年5日の時季指定義務

使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日を取得時季を指定して、年次有給休暇を取得させなければいけない。

※本人から取得したい時季の請求があった場合は、その時期に取得させればいい。
※労使協定により時間単位年次有給休暇を取得できる場合でも、「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の対象にすることはできない。
※半日単位の年次有給休暇は「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の対象にできる。
 

3.年次有給休暇管理簿

使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければならない。

 

4.就業規則への規定

使用者の年次有給休暇の時季指定を行う場合には、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法について、就業規則に記載しなければならない。

 

5.罰則

 
  違反条項 罰則規定 罰則内容
労働基準法
第39条第7項
年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合 労働基準法
第120条
30万円以下の罰金
労働基準法
第89条
使用者による時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合 労働基準法
第120条
30万円以下の罰金
労働基準法
第39条
(第7項を除く)
労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合 労働基準法
第119条
6か月以下の懲役または
30万円以下の罰金

※罰則による違反は、対象となる労働者1人につき1罪と取り扱われるので、労働基準監督署の監督指導によっては大きな罰金となる場合がある。
 

有給休暇管理は「有休ちゃん」